AIを使っている人どうしで、5年後に差がつく理由 ―― パソコンの中の書類を読んで、検算までさせる使い方

日本人の58.8%が生成AIを使い、コードを書かせるAIは7.0%。送金明細をAIに読ませて検算する図

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やっしー隊長です。

2010年から名古屋と岐阜でRC造の一棟物件を買ってきました。あわせて2020年から、市場に公開された一棟収益物件の情報を継続的に集計・分析するデータベースを作り、大家さん向けに提供しています。いま入っている物件は19万件を超えます。

データを扱うのが本業なので、AIは早い時期から業務に入れました。

入れてみて分かったのは、AIには二通りの使い方があって、その二つで出せる力がまるで違う、ということです。

一つは、画面に質問を打ち込んで答えをもらう使い方。もう一つは、自分のパソコンのフォルダをそのまま渡して、中の書類を読ませる使い方です。

前者だけで止まっている人が、おそらく大半でしょう。そして、この二つの差は、続けるほど開いていきます。

まず、その数字から。


目次

1. 出てくる言葉の意味

生成AI — 文章や画像を作るAIです。ChatGPT、Gemini、Claude、Copilot などがこれにあたります。

聞く使い方(チャット) — 画面に文章や紙の中身を貼って、答えを返してもらう使い方です。プログラミングの知識は要りません。

渡す使い方(コーディング) — 自分のパソコンのフォルダをAIに渡す使い方です。その中のファイルを開いて読ませ、比べさせ、手順として残せます。代表的な道具が Claude Code。「コーディング」と呼ばれていますが、コードを書くのはAIで、使う人は日本語で頼むだけ。

ターミナル — パソコンの黒い画面に文字で命令を打ち込む道具のことです。いまのClaude Codeにはデスクトップ版のアプリがあるので、これは要りません。

送金明細 — 管理会社が毎月出すもので、集めた家賃から管理料や手数料を引いて、いくら振り込んだかが書いてある紙です。

経費率 — 家賃収入のうち、経費で消える割合です。管理料・修繕費・固定資産税・共用部の電気代などを全部足して、家賃収入で割ります。


2. 「AIを使っている」の中身

2-1. 日本人の58.8%が使っている

総務省が2026年7月に出した「令和8年版 情報通信白書」の数字です。2025年度の調査によります。

年度生成AIを使ったことがある
2023年度9.1%
2024年度26.7%
2025年度58.8%

2年で6倍以上になりました。この58.8%は15歳以上の数字で、20歳以上に限ると52.2%です。

2-2. その中身を種類で割ると

同じ調査で、どの種類のAIを使ったことがあるかを聞いています。

種類日本米国ドイツ中国
1種類以上使っている58.8%75.6%75.6%93.6%
文章を作るAI55.0%65.4%66.0%88.3%
画像・動画を作るAI16.3%41.0%47.6%55.8%
音声を作るAI6.5%29.3%28.0%44.1%
音楽を作るAI5.8%29.3%26.0%33.7%
プログラムのコードを作るAI7.0%35.4%25.0%33.5%

文章を作るAIは55.0%で、全体の58.8%とほとんど同じです。つまり「AIを使っている」のほぼ全員が、文章のAIを使っています。

コードを作るAIは7.0%。米国の35.4%と比べると、5分の1です。

2-3. 目的で割っても、同じ形が出ます

同じ調査で、目的ごとに「定期的に利用」「過去に何度か利用」「利用する必要がない」を聞いています。日本の数字です。

目的定期的に利用過去に何度か必要がない
情報の理解33.7%19.7%14.4%
文書作成や校正20.1%18.0%20.6%
日常の行動・判断の相談14.6%13.0%22.2%
アイデア発想14.4%15.3%22.6%
翻訳13.7%17.7%20.8%
専門家にするような相談12.3%12.5%22.1%
コンテンツ制作11.5%13.3%27.1%
日常的な会話11.0%11.1%29.6%
学習支援9.7%10.1%28.6%
生活・業務の管理8.5%10.5%26.3%
プログラミングやデータ処理4.9%9.1%36.7%

いちばん多いのが「情報の理解」で33.7%。いちばん少ないのが「プログラミングやデータ処理」で4.9%です。

そして「利用する必要がない」が36.7%。この数字は、11ある目的のなかで最も高いものでした。

同じ設問の「定期的に利用」は、国ごとにこうなっています。

目的日本米国ドイツ中国
情報の理解33.7%45.7%48.6%59.9%
プログラミングやデータ処理4.9%22.8%15.7%27.6%

情報の理解では1.4倍の差ですが、プログラミングやデータ処理では4.7倍の差になります。

2-4. 世界でも、いちばん多いのは聞く使い方です

これは日本だけの話ではありません。

OpenAIと全米経済研究所(NBER)が2025年9月に出した論文が、ChatGPTの会話の中身を分類しています。

分類割合
Asking(聞く・相談する)49%
Doing(やらせる)40%
Expressing(表現する)11%

用途で分けると、実務の助言が約29%、調べものが約24%、書きものが約24%、そしてコンピュータのプログラミングは4.2%でした。書きものの3分の2は、自分で書いた文の手直しです。

世界でも、いちばん多い使われ方は「聞く」でした。日本が違うのは用途ではなく、利用率と頻度です。


3. 不動産投資家だけ見ても、同じでした

健美家が2025年8月に、不動産投資家126人に聞いた調査があります。

使っているか(126人)

選択肢割合
週数回以上使っている19.8%
月数回程度使っている22.2%
小計「使っている」42.0%
使ったことはあるが、あまり使っていない24.6%
名前は知っているが、使ったことはない27.8%
名前も知らない/まったく使っていない5.6%
小計「使っていない」58.0%

どの場面で使うか(使っている53人・複数回答)

場面割合
戦略を考える時の相談58.5%
メール文案作成47.2%
物件購入時のシミュレーション(利回り・CF計算)39.6%
情報収集(税制・ニュースなど)35.8%
事業計画・金融機関向け資料の下書き26.4%
契約・管理など法務関連の質問26.4%
リフォーム・間取りアイデアの相談18.9%
ロゴ等のデザイン18.9%
入居者募集の広告文作成9.4%
その他15.1%

10項目とも、AIに聞くか、AIに書いてもらうかです。自分のパソコンの中にある書類をAIに扱わせる項目は、一つもありません。

ただし、これを「誰もファイルを扱っていない」と読むのは行き過ぎです。選択肢にそもそも無いので、聞かれていないだけ、とも読めます。実際、同じ調査の自由回答にはこういう声が入っていました。

数字も苦手なので、エクセルなどを読み込ませて整理してもらっています

資料を読み込んで作業ができるため、Notebook LMというGoogleのAIがおすすめです

物件概要書を取り込んで、確認すべきポイントを洗い出してもらう

自社の決算書を読み込ませて、金融機関への見え方やアピール方法について参考意見を聞く

書類を扱わせたい人は、すでにいます。選択肢のほうが追いついていない、という読み方のほうが実態に近いと思います。

使っていない人の理由(73人)

理由割合
使い方がよくわからない30.1%
使う必要性を感じない16.4%
情報の正確性が不安15.1%
特に不安は感じない15.1%
融資・法務などの判断は専門家に任せたい9.6%
AIに頼ると自分の判断力が落ちそう8.2%
個人情報やセキュリティが心配4.1%

いちばん多いのが「使い方がよくわからない」でした。

これは国の調査とも合います。総務省の調査で、文章のAIを使わない理由を聞くと、日本は「使い方がわからない」が38.8%。米国は18.5%、ドイツは16.5%です。日本が4か国で最も高い数字でした。

嫌っているのではなく、入口が見えていない。そういう数字に見えます。

使う人がいちばん心配していること(53人)

情報の正確性が不安、が52.8%で最多でした。この心配は正しいものです。うちで実際に出た読み違いは 6-4 にあります。

回答した人の顔ぶれ

50歳以上が56.3%。投資歴は1〜5年が29.4%、10〜20年が26.2%。東海は6.3%でした。


4. 聞くだけでは、力の大半が出ません

聞く使い方が悪いのではありません。私も毎日使っています。ただ、そこには三つの限界があります。

4-1. 渡せる量が上限になる

チャットの画面では、AIはこちらが打ち込んだ文字しか見ていません。だから毎回、物件のことを一から説明することになります。管理会社がどこで、経費率がいくつで、借入が何本あるか。そこまで話して、やっと質問に入れる。

うちの帳簿には5棟入っています。送金明細が月に5枚、12か月で60枚。返済予定表と課税明細と見積を足せば、年に100枚を超える量です。

一枚ずつなら聞けます。60枚を並べて、消えた行と増えた行を出す、はできない。

4-2. 答えが毎回そのつど作られる

うちで測りました。ある管理会社の明細には「支出の合計」という欄がなく、管理料・管理料の消費税・その他控除・振込手数料の四つに分かれています。同じ紙を同じAIに3回読ませて、合計を聞きました。

AIの答え中身
1回目22,660円ページの下にある領収証の額を拾った
2回目29,700円四つの欄を足した(紙を見た答えと同じ)
3回目22,660円1回目と同じ

紙に印字されていない合計を求めると、AIは、足すか、別の欄を拾うか、引き算で作るかをそのつど選びます。指示を強くしても直りませんでした。

4-3. 手順が残らない

これがいちばん効きます。

先月おなじことを頼んでいても、今月はまた一から説明します。会話が変わると、決めたことは消えている。毎月続けて初めて意味の出る作業とは、相性がよくありません。


5. 渡す使い方に変えると、何ができるか

もう一つの使い方は、パソコンのフォルダをAIに渡して、その中で働かせるものです。

うちで回している検査は、こういうものです。

  1. 紙から写した支出と、帳簿に載っている支出を、月ごとに並べる
  2. 引き算する。引き算はAIではなくプログラムがやる
  3. 差が出た月に印を付ける

一度書かせておけば、来月も再来月も同じやり方で走ります。写す仕事と足す仕事を分けたので、3回読ませて3回違う、も消えました。

⚠ 道具の機能そのものは、半年で変わります。聞く使い方のほうでも、パソコンの中のファイルを扱える仕組みが増えてきました。だから「チャットではできない」という言い方は、そのうち外れます。

変わらないのは、頼んだことが手順として残るかどうかです。残れば積み上がり、残らなければ毎月ゼロからになります。


6. 人の目では見つからない間違いが、実際にあります

6-1. 振込手数料 220円 × 6か月

管理会社の明細には毎月、振込手数料が220円引かれていました。引かれていること自体は正しいのです。うちの帳簿に、その220円が6か月間、一度も載っていませんでした。

金額は1,320円。額の話をしたいのではありません。

この種の間違いは、人が目で追っても見つかりません。 振込額は正しく、帳簿の合計もそれらしく、どこにも赤い字が出ないからです。データを扱ってきた側の帳簿でも、こうなります。だから仕組みで見つけるしかない、というのがここでの結論です。

続きもあります。6か月のうち4か月は直りました。元の明細がパソコンに残っていたからです。残りの2か月は直せません。取り込んだときに元の紙を残していませんでした。元の紙が無いと、あとから何が起きていたのかを確かめる方法が、原理として無くなります。

6-2. 経費率は20%ではなく32.8%だった

物件を買うときの計算に入れる経費率です。うちのシミュレーターの既定は20%でした。

5棟の1年ぶん(2025年9月から2026年8月)の帳簿から出し直すと、全体で32.8%でした。

物件組み込みの費目だけ全部の費目
A20.9%46.8%
B13.4%35.5%
C12.9%25.8%
D14.4%23.3%
E14.3%32.4%
全体15.4%32.8%

固定資産税、共用部の電気、清掃、エレベーターの保守、水道、外の駐車場代。この6つが帳簿の「その他」に入っていて、数えられていませんでした。

たちが悪いのは、15.4%も20.9%も、不動産の経費率としてあり得る数字だということです。あり得る数字が出ているあいだ、人は疑いません。

6-3. 家賃相場は、掲載数で数えると3倍に膨らむ

物件のまわりで募集中の部屋の家賃を集める作業です。手でやると半日から1日かかっていました。142室・96棟ぶんが7分で入ったのです。別の物件では1時間17分かかったので、数分から1時間ほどと見ています。

速さより効いたのは、数え方でした。

別の調査では、集めた掲載が530件ありました。ところが部屋として数えると178室です。141室が、複数の会社から二重・三重に載っていました。建物名を伏せた掲載や、築年が1年ずれた掲載もあります。

町丁目と階数と築年で同じ部屋を寄せる決まりを、先に渡してあります。だから530が178になるわけです。渡さなければ、530のほうで数えた相場が出ます。

6-4. 謄本は、もっともらしく間違える

これはAIのほうが間違えた例です。一棟ぶんの登記簿謄本2通を読ませたとき、18か所の読み違いが出ました。

実際に出たこと
抵当権者と債務者が入れ替わる銀行が「債務者」の欄に入った
抹消済みの担保だけが「効力あり」として残る消えている3,000万円が残り、実際に効いている1億8,760万円が落ちた
各階の床面積が違うのに、合計だけ合っている合計271.07㎡は一致。原本の各階は別の数字で、合計は281.46㎡
受付番号の桁落ち第75570号が第7570号に
氏名の一字違い「庭」が「田」に

数字が自己整合しているので、画面でも検算でも赤くなりません。原本と突き合わせるまで「確定」と書かないことにしています。

調査で52.8%の人が「情報の正確性が不安」と答えていました。その心配は正しいものです。ただ、心配の中身は「AIが変な答えを出す」ことではなく、「もっともらしい答えを出す」ことのほうです。

6-5. 四つに共通する形

あり得る数字が、それらしく並んでいるだけ。これが四つに共通する形でした。

20%は経費率としてあり得る数字です。530件も掲載数としてあり得ます。あり得る数字が出ているあいだ、人は疑いません。例外も出ませんし、エラーも出ない。

だから、目で追う体制のままでは、何年やっても見つからないままになります。


7. 経験のある人ほど、効き方が大きくなります

AIの効果を測った研究には、経験者には効かない、と出たものもあります。

コールセンターの担当者5,179人を調べた研究では、AIの導入で1時間あたりの解決件数が14%増えました。ただし中身を割ると、新人は34%増え、熟練者はほとんど変わっていません

これは速さを測った研究です。速さで言えば、慣れた人はもともと速いので、伸びしろが小さくなります。

うちで出た四つは、速さの話ではありませんでした。見えていなかったものが見えた、という話です。

そして見えていなかったものは、扱っている書類が多い人ほど溜まります。 物件が増えるほど、管理会社が増えるほど、借入の本数が増えるほど溜まる。経験のある人ほど、ここは大きくなるわけです。

Anthropicが2026年6月に出した調査も、同じ方向を指しています。Claude Codeを使った約40万回ぶんの記録(2025年10月から2026年4月)で、職種ごとの成功率を比べたものです。

ソフトウェアの仕事の人それ以外の仕事の人
検証できた成功率30%26%
コードを書かせた場面に限ると34%29%
部分的にうまくいったものを含めると89%88%

4ポイントしか違いません。部分的な成功まで含めると1ポイントです。

いま最も速く増えている非ソフトウェア職は、管理、営業、法務でした。同じ会社の別の報告には、ターミナルを開いたことのない人が、フォルダの整理や重複ファイルの削除や表計算の数式作りに使っていた、とあります。

技術の素養が要る話ではない、ということです。


8. 5年後に何が変わるか

8-1. 雇用主が見ている5年後

世界経済フォーラムが2025年1月に出した報告書があります。1,000社を超える雇用主(従業員あわせて1,400万人、55の国と地域)に聞いたものです。

見込み数字
2030年までに入れ替わる、働く人の中核となる技能39%
最も伸びる技能の1位AI・ビッグデータ
AI・ビッグデータを中核技能に挙げた回答の、2023年からの増加+17ポイント
「AIと協働するため既存の従業員を再教育する」と答えた雇用主77%
「従業員のスキルを底上げする」と答えた雇用主85%
「技能が古くなった人員を減らす」と答えた雇用主40%

100人の働き手でいうと、59人が2030年までに訓練を必要とします。そのうち29人は現職のまま、19人は配置を変えて訓練を受け、11人は訓練を受けられないまま2030年を迎える見込みだと書かれています。残る41人は訓練が要りません。

ただ、これは雇用主が思っていることであって、起きたことではありません。

8-2. 手元で起きたことから言えること

聞く使い方をどれだけ続けても、上限はこちらが説明できる量のままです。1年続けても2年続けても、そこは動きません。手順が残らないからです。

渡す使い方に移った人は、去年書かせた検査が今年も走っています。その上に今年の検査が乗ります。乗ったものは減りません。

5年たったとき、この差は勉強量の差ではありません。積み上がったものの数の差です。


9. 反対の結果が出ている研究もあります

都合の悪い数字もあります。判断の材料としては、そちらも要ります。

9-1. 組織の95%がリターンを出せていない

マサチューセッツ工科大学の研究者らが2025年7月に出した報告です。生成AIに300億から400億ドルが投じられているのに、損益にリターンが出ている組織は5%にとどまる、という内容でした。個人の生産性は上がるのに会社の数字には出ない、と書かれています。

ただし、この調査は52組織への面談と153人への聞き取りが土台で、報告書自身が暫定版だと注記しています。

9-2. AIを使えるときのほうが19%遅かった

METRという団体が2025年に行った実験です。経験のある開発者16人に246の作業をさせたところ、AIを使ってよい条件のほうが19%遅い結果になりました。

面白いのは、本人たちは速くなったと思っていたことです。事前に24%速くなると予想し、終わったあとも20%速くなったと感じていました。2026年2月の追試でも、同じ開発者では18%遅いという結果でした。

9-3. どう読んでいるか

どちらも分母が小さい調査です。ただ、数字の大きさそのものより、反対の結果も出ているという事実のほうが大事だと考えています。

そのうえで、うちで出た四つは速さの話ではありませんでした。速くするために入れると、この二つの研究のような結果になることがあります。見落としを見つけるために入れると、結果の出方が変わります。


10. 味方にするために、先に決めておくこと

AIは強力です。強力なものは、決めごとなしで使うと事故ります。うちで先に決めたのは四つでした。

合計をAIに作らせない

印字されている数字を、印字のとおりに写させます。足すのはAIが書いたプログラムで、プログラムは何回やっても同じ答えです。写す仕事と足す仕事を分けると、3回読ませて3回違う、が消えます。

ファイルを動かさせない

消さない、上書きしない、名前を変えない。仕分けの提案まではさせますが、実行するのは人です。元の紙が残っていなかった2か月ぶんの220円は、この決まりを作る授業料でした。

人に渡す紙に、丸と罰を刷らせない

売主と買主と銀行は、同じ数字を逆向きに読みます。自分の判断に使う基準を相手に渡す紙に刷ると、話がこじれます。

読ませる書類の中身を、先に決める

入居者の氏名や連絡先、契約書、銀行の書類、決算書。フォルダに入れたものは、全部AIが読みます。手元のパソコンにあっても、読ませれば外に出るのと同じです。何を読ませるかは、入れる前に決めておきます。

そして、謄本の18か所のように、AIのほうが間違えることもあります。原本と突き合わせるまで「確定」と書かないこと。これも決めごとの一つです。


11. 始め方

11-1. 要るものは三つ

要るもの補足
Claudeの有料プラン自分の名義で契約します。金額とプラン名は変わるので、公式ページで確認します
Claudeのデスクトップ版のアプリWindowsでもMacでも動きます。黒い画面(ターミナル)は要りません
物件ごとに資料を入れたフォルダ販売図面・レントロール・送金明細・課税明細・登記・契約書・見積

フォルダの名前は「物件名/年月-種類.pdf」くらいでかまいません。一度決めた場所は、あとから動かさないのが大事です。

11-2. 覚え書きを一枚、フォルダに置く

最初にやることはこれです。15分で書けて、以後ずっと効きます。

書くことなぜ要るか
持っている物件の一覧(名前・所在・構造・築年・戸数)AIが物件名で資料を探せるようになる
物件ごとの管理会社送金明細の様式が会社ごとに違う
自分の経費率既定の20%を使わせない
金融機関と返済の本数、金利の見直し時期1本しか読まれないと返済が少なく出る
社内での物件の呼び名資料の表記と普段の呼び方が違う

これが無いと、毎回ゼロから説明することになって続きません。

11-3. いちばん小さい一歩

次に管理会社から明細が届いたときに、前の月の明細と並べて、消えた行と増えた行を出させることです。2枚あればできます。

そこで何も出なければ、それは良いことです。うちは6か月ぶん出ました。


12. まとめ

日本人の58.8%が生成AIを使っていて、そのほぼ全員が文章のAIです。コードを作るAIは7.0%で、米国の5分の1でした。不動産投資家に絞っても同じで、使い方の10項目は全部「聞く」か「書いてもらう」でした。

聞く使い方には三つの限界があります。渡せる量、答えの揺れ、手順が残らないこと。

渡す使い方に変えると、頼んだことが手順として残ります。うちではそれで、6か月ぶんの220円、経費率の12.8ポイント、掲載530件と実際の178室の差、謄本の18か所が出ました。どれも赤い字はどこにも出ていません。目で追う体制のままなら、何年やっても見つからなかったものです。

そして、この一段はエンジニアの技術ではありませんでした。成功率の差は4ポイントです。

扱っている書類が多い人ほど、効き方は大きくなります。


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数字の出典

・日本の生成AI利用率、種類別・目的別・国別の内訳、使わない理由
総務省「令和8年版 情報通信白書」(2026年7月公表・2025年度調査)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/pdf/n1110000.pdf
目的別の表のデータ
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r08/csv/f00015.csv

・不動産投資家のAI利用率、利用場面、使わない理由、不安、回答者の属性
不動産投資と収益物件の情報サイト健美家(けんびや)「不動産投資家アンケート」
調査期間 2025年8月13日〜20日、インターネット調査、対象は不動産投資家、有効回答126名。2025年9月9日公表
https://www.kenbiya.com/ar/ns/research/kenbiya_report/9378.html
プレスリリースPDF
https://www.kenbiya.com/doc/press/pre2025-09-09.pdf

・ChatGPTの会話の分類とプログラミングの割合
Chatterji らによる全米経済研究所(NBER)ワーキングペーパー “How People Use ChatGPT”(2025年9月)
https://www.nber.org/papers/w34255

・ソフトウェア職とそれ以外の職の成功率、伸びている職種
Anthropic “How Claude Code is used in practice”(2026年6月公表)
2025年10月から2026年4月の約40万セッションを分析したもの
https://www.anthropic.com/research/claude-code-expertise

・ターミナルを開いたことのない人の使い方
Anthropic “How people are using Claude Cowork”(2026年7月)
https://claude.com/blog/how-people-are-using-claude-cowork

・2030年までのスキルの入れ替わり、伸びる技能、雇用主の計画、訓練の見込み
世界経済フォーラム「Future of Jobs Report 2025」(2025年1月公表)
雇用主1,000社超、55の国と地域
スキルの章
https://www.weforum.org/publications/the-future-of-jobs-report-2025/in-full/3-skills-outlook/

・生成AIに投資した組織の95%にリターンが出ていない
マサチューセッツ工科大学の研究者らによる “The GenAI Divide”(2025年7月・52組織への面談と153人への聞き取り・暫定版)

・AIを使えるときのほうが19%遅かった
METR(2025年7月公表・経験のある開発者16人・246タスク)
https://metr.org/blog/2025-07-10-early-2025-ai-experienced-os-dev-study/
2026年2月の追試
https://metr.org/blog/2026-02-24-uplift-update/

・コールセンターの生産性14%増と、新人34%・熟練者ほぼゼロという内訳
Brynjolfsson・Li・Raymond “Generative AI at Work”(全米経済研究所ワーキングペーパー31161)
カスタマーサポート担当者5,179人が対象
https://www.nber.org/papers/w31161

・振込手数料220円の6か月、支出合計の3回読み、謄本の18か所
当社の帳簿と物件資料で、2026年8月から9月に測ったもの

・家賃相場の所要時間と530件→178室、5棟の経費率
同じく、2026年8月から9月に当社で測ったもの

・一棟収益物件19万件
Haroの物件データベースに入っている件数(2026年8月時点)

発行 ブルー・ソリューションズ株式会社


総務省の2025年度調査の58.8%は15歳以上の数字です。2023年度と2024年度の調査は20歳以上が対象だったので、そのまま並べると増え方が大きく出ます。2025年度の20歳以上だけを取ると52.2%です。

総務省の調査は日本・米国・ドイツ・中国の4か国で実施されたもので、英国は含まれていません。

健美家の調査の「どの場面で使いますか」は選択肢からの複数回答です。選択肢に無い使い方は数字に出ません。「10項目とも聞くか書いてもらうか」は選択肢の中身についての記述で、回答した人が他のことをしていない、という意味ではありません。

聞く使い方で同じ紙を3回読ませた結果は、当社の帳簿の取り込みで使っているAIで測ったものです。画面のChatGPTやClaudeで同じ紙を読ませたときに同じ数字が出るとは限りません。ただ、紙に無い合計を求めると答えが揺れることは、どのAIでも同じ形で出ると見ています。

経費率の表の「組み込みの費目」は、当社の帳簿があらかじめ持っている16の費目を指します。「全部の費目」は、そこに固定資産税・共用電気・清掃・エレベーター・水道・外部駐車場代を足したものです。

Anthropicの成功率は、同社が会話の記録から自動で判定したものです。判定できたのは全体の一部にとどまり、職業も推定によるもの。

ChatGPTの4.2%は消費者向けプラン(無料・Plus・Pro)の会話を数えた割合で、企業向けは含まれていません。プログラミングの用途は開発者向けの道具のほうへ移っている可能性がある、と論文にも但し書きがあります。同じ時期のClaudeでは、会話の3割台がコーディングでした。道具によって使われ方が違うので、4.2%を「世界の人はコードを書かせていない」とまでは読めません。

Claudeの有料プランの金額とプラン名は、公式ページの記載が変わるのでここには書いていません。

AIの答えは、現地確認と、税理士・銀行・管理会社への確認の代わりにはならない、という前提です。買う・買わないを決めるのは自分です。情報提供が目的で、投資の勧誘ではありません。

※本記事は2026年9月時点の公開情報に基づきます。

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この記事を書いた人

不動産投資歴15年超 / 大家さん学びの会名古屋 支部代表 / AI 開発者 / 著書「FIREできる不動産投資3つのルール」(45才からいきなり始めて成功できる)。本名: 岡本 康 (ブルー・ソリューションズ株式会社 代表)。中立的立場で生成 AI ツール・不動産投資サービスをレビュー。

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