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― 収益物件 約18万件の“掲載されてから消えるまで”を調べてわかったこと
やっしー隊長です。
物件サイトを毎日のように見ていると、こんな経験はないでしょうか。
「お、これ良さそう」と思ってブックマークした物件が、次の日にはもう消えている。かと思えば、半年前から「ずっと載っているな」という物件が、今日もまだ同じ場所にいる。
同じくらいの利回り、同じくらいの値段に見えるのに、片方は一瞬で消えて、片方はずっと残る。この差はどこから来るのか。
気になったので、ちゃんと数えてみました。市場に公開されている収益物件の情報を継続的に集めているデータベース(約18万件、2020年10月〜2026年6月)を使って、「売り出されてから市場で見えなくなるまで、何ヶ月かかったか」を物件ごとに集計したんです。
先に、ひとつだけ言ってしまうと——速い・遅いを分けていたのは、利回りでも値段でも築年でもありませんでした。 では、何だったのか。思いつく条件をひとつずつ消していって、最後に残ったものが答えでした。順番に見ていきます。
まず驚いたこと:市場は、思っているより速い
最初に出てきた数字がこれです。集計は、初掲載から1年以上たって結果が出そろった物件にしぼっています(最近載ったばかりの物件は「まだ長く残りようがない」ので、フェアに比べるため除いています)。
| 種別 | 件数 | 平均掲載期間 | 中央値 | 2ヶ月以内に消えた割合 | 13ヶ月以上残った割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 戸建 | 38,703 | 4.1ヶ月 | 1ヶ月 | 72.3% | 8.9% |
| 一棟アパート | 57,808 | 5.0ヶ月 | 1ヶ月 | 65.0% | 11.3% |
| 一棟マンション | 31,314 | 6.2ヶ月 | 1ヶ月 | 61.5% | 14.9% |
中央値が、どの種別も「1ヶ月」。
つまり、半分以上の物件は、載ってから1〜2ヶ月のあいだに市場から消えています。 戸建にいたっては7割以上。「いい物件はすぐ無くなる」とよく言いますが、データで見ても本当にそうでした。「あとで考えよう」と一晩寝かせている間に、半分は手の届かないところへ行っているわけです。
ちなみに、収益物件の市場データは健美家さんや楽待さんが四半期ごとに無料レポートを出していて、エリア別・種別別の平均利回りや平均価格はそちらで見られます。ただ、「どれくらいの速さで消えていくか」という回転の数字までは出ていません。今日の話は、そこを埋める内容だと思ってください。
※ひとつ正直に断っておくと、「市場から消えた=必ず成約した」とは限りません。売主の都合で取り下げたケースも混ざります。なので厳密には「成約スピード」ではなく「市場に出ている期間」として読んでください。それでも、買い手から見える景色としては十分に役立つ数字です。
でも、ずっと「居座る」物件もいる
速い物件の話をしましたが、表の右端も見てください。13ヶ月以上残り続けた物件が、一棟マンションで約15%います。
あなたが「この物件、前から見るな」と感じるあの物件たちです。半年、1年と同じ場所にいる。種別でいうと一棟マンションが一番この“居座り組”が多く、戸建が一番少ない。値段が張って、買い手が限られるものほど、滞留しやすい傾向です。
ここで多くの人が「居座っているのは、利回りが低いからだろう」「割高だからだろう」と考えます。私もそう思っていました。本当にそうなのか、ひとつずつ確かめていきます。
エリアでも、速い・遅いがある
種別の次に、都道府県ごとに回転の速さを並べてみました(一棟と戸建を合算、件数が十分あるエリアのみ)。
回転が速いエリア(出るとすぐ買い手がつく)
- 広島県:2ヶ月以内に消える 73.9%
- 東京都:71.8%
- 新潟県:70.6%
回転が遅いエリア(売れ残りが目立つ)
- 岐阜県:2ヶ月以内に消える 57.9%(13ヶ月以上残る 16.1%)
- 和歌山県:61.6%(15.6%)
- 鹿児島県:61.7%(15.3%)
- 愛知県:61.9%(13.3%)
おもしろいのは、東京は値段が高いのに回転がトップクラスに速いこと。買い手の数がそれだけ多い、ということでしょう。
そして、私のホームである名古屋(愛知県)は、やや回転が遅い側です。これは悪い話ではありません。回転が遅い=あわてなくても選べる、ということでもあります。ただし「なぜ残っているのか」を一物件ずつ確かめる手間は、速いエリアより大事になります。
本題:何が「速い・遅い」を分けているのか
ここからが、今日いちばん伝えたかったところです。
「速く消える物件」と「居座る物件」、その違いは何で決まるのか。思いつく条件で、ひとつずつ切り分けてみました。まずは、いちばん怪しそうな価格帯から。
| 価格帯 | 2ヶ月以内に消えた割合 |
|---|---|
| 3,000万円未満 | 68.7% |
| 3,000〜5,000万円 | 64.8% |
| 5,000万〜1億円 | 63.1% |
| 1〜3億円 | 65.4% |
| 3億円超 | 72.4% |
ほぼ横ばいです。安いから速い、高いから遅い、という単純な話ではありませんでした。値段の高い・安いでは、説明がつきません。
次に、みんなが一番気にする利回り。
| 利回り | 2ヶ月以内に消えた割合 |
|---|---|
| 8%未満 | 68.9% |
| 8〜10% | 62.2% |
| 10〜13% | 62.8% |
| 13〜18% | 63.7% |
| 18%以上 | 67.9% |
これも、ほぼ横ばい。「高利回りだから即売れる」わけでも、「低利回りだから売れ残る」わけでもない。むしろ低利回り(都心の手堅い物件)と超高利回り(地方の安い物件)の両端がやや速く、真ん中が少しだけ遅い、というゆるいU字。利回りの数字だけでも、回転は読めませんでした。
築年で切っても、結果はやっぱり横ばい。これも違いました。
では、何で決まるのか。残った条件を最後に切ってみたら、景色が一変しました。その物件を、何社の業者が扱っているかです。
| 扱う業者の数 | 平均掲載期間 | 2ヶ月以内に消えた割合 | 13ヶ月以上残った割合 |
|---|---|---|---|
| 1社 | 2.2ヶ月 | 82.7% | 2.4% |
| 2社 | 8.5ヶ月 | 37.7% | 21.4% |
| 3社 | 13.5ヶ月 | 17.2% | 39.1% |
| 4社 | 15.2ヶ月 | 13.2% | 44.7% |
| 5社以上 | 17.8ヶ月 | 9.5% | 51.9% |
桁が違います。
1社だけが扱っている物件は、83%が2ヶ月以内に消える。 一方、5社以上が扱っている物件は、平均18ヶ月も市場に残り、半分以上が1年以上の居座り組です。
値段でも利回りでも築年でもなく、「何社が出しているか」という一点に、回転の速い・遅いがくっきり出ていました。これは、エリア別・種別別の平均値を見ているだけでは絶対に見えない景色です。同じ物件が何社のサイトに出ているかを横断で数えて、はじめて見えてきます。
※ただ、ここで少し引っかかりませんか。ふつうに考えれば、業者が多いほど、たくさんの人に紹介されて、むしろ早く売れそうなものです。なのに、現実は逆。5社が扱う物件ほど、長く居座っている。この“逆”はなぜ起きるのか——今日いちばんおもしろいところなので、次で順を追って考えていきます。
なぜ「業者が多い」ほど、売れ残るのか
もう一度、さっきの引っかかりに戻ります。業者が多いほど、たくさんの人の目に触れる。普通なら、早く売れるはずです。なのに、現実は逆でした。
ここで一度、手を止めて考えてみてください。「たくさんの業者が紹介して、たくさんの人が見たのに、誰も買わなかった」。これは、何を意味するでしょうか。
答えはたぶん、こうです。大勢の買い手が値段を見て、そのほとんどが「この値段では合わない」と判断して、通り過ぎた。 一人や二人が見送ったのではありません。市場が、何ヶ月もかけて、大勢の目で、すでに答えを出している。「この物件は、この値段では高い」と。
ではなぜ「高い」のか。物件の妥当な値段は、突き詰めると二つの掛け算で決まります。ひとつは収益——どれだけ家賃を生むか(利回り)。もうひとつは、その物件が抱えるリスク——築年、再建築の可否、立地、規模、そして売るときの出口の取りやすさ。この二つから割り出される値段より高く出ていれば、買い手は数字を計算した時点で気づきます。だから、買わない。
売れないと、どうなるか。売主は「この業者の力不足かな」と、別の会社に頼みます。そこでも売れず、また次の業者が後から扱い始める。こうしてひとつの物件が業者の間をぐるぐると回され、結果として「何社もが扱う物件」ができあがるわけです。人気で群がっているのではなく、その逆。売れ残った結果として、業者の数だけが増えていく。最初の“引っかかり”の正体は、これでした。
ここまで来ると、もうひとつの疑問も自然とほどけます。なぜ、ここまで残っているのか。 ——売主が、まだ値段を下げていないからです。下げれば実力相応の価格になって買い手がつくのに、下げない。だから宙ぶらりんのまま、居座り続ける。
そう考えると、買い手のあなたが取るべき動きも見えてきます。今この瞬間に強気の指値を入れても、まず通りません。通る値段なら、これだけ大勢の目に触れているのだから、とっくに誰かが買っているはずだからです。やることはひとつ。今の値段では、追わない。 価格が実力に近づく(=下がる)まで、待てばいい。慌てて高値で掴みにいく物件ではありません。
ただし、ひとつだけ注意です。「下がれば買い」とは限りません。 値段だけが高い物件なら、下がった瞬間に妙味が出ます。でも、実力そのもの——つまりリスクの側——が低い物件(再建築不可、極端な築古、出口の見えない立地)は、安くて当たり前。下がっても妙味は出ません。価格と実力、その両方がそろって、はじめて「買い」です。
最後に、ひとつだけ、答えの出ない問いを残しておきます。ポータルサイトへの掲載は、タダではありません。売れないと分かっている物件を、業者はなぜコストをかけてまで出し続けるのか。これは、はっきりした正解のない問いです。あなたなら、どう読みますか。「売主が大口で力のある相手だから、業者は関係を切りたくないのかもしれない」。あるいは「見栄えのいい物件を“客寄せ”にして、問い合わせてきた人に別の物件をすすめているのかもしれない」。どちらにしても、「みんなが欲しがるから業者が群がっている」のとは逆の景色だ——そう思って眺めると、物件サイトの見え方が少し変わるはずです。
あなたが今日からできる、無料の3ステップ
ここまでの話を、今度はあなたが自分の物件で確かめる番です。気になる物件を見つけたら、買付を入れる前にこれだけ。お金はかかりません。
ステップ1:いつから載っているか確認する物件ページの「情報公開日」「登録日」「情報提供日」を見ます。今日の日付から逆算して、何ヶ月載っているか。3ヶ月、半年と経っていたら、それは“居座り組”の入り口です。
ステップ2:同じ物件を、複数のサイトで検索する物件名・住所・最寄り駅+価格などで、健美家・楽待・各社サイトを横断検索してみてください。同じ物件が何社から出ているかを数えます。 1社だけなら新鮮、3社・5社と出てきたら、かなり長く市場をさまよっている可能性が高い。今日のデータがそう言っています。
ステップ3:業者に2つだけ聞く「いつから売りに出ていますか?」と「これまで値段は下がっていますか?」。この2つです。長く・多く出ていて、しかも一度も値下げしていないなら、売主はまだ値段を譲る気がありません。市場が「高い」と言っているのに下げない物件——今の価格で強気に追っても、まず通りません。追わずにウォッチへ入れて、値段が動くのを待つのが正解です。逆に、すでに値下げが始まっているなら、売主が現実を受け入れ始めたサイン。ここからは、指値(値引き交渉)が効く局面に変わります。
速い物件を一瞬で取りにいくのか、居座り組が下がるのを待って拾うのか。どちらの戦い方をするにせよ、まず「この物件はどっち側か」、そして「なぜ残っているのか」を見分けることから始まります。
まとめ
- 収益物件は、半分以上が1〜2ヶ月で市場から消える。思っているより速い。
- でも、1割前後はずっと居座る(一棟マンションは15%)。
- 速い・遅いを分けるのは、利回りでも値段でも築年でもない。どれも横ばいでした。
- 効いていたのは、その物件を何社が扱っているか。1社なら速い、5社以上なら平均18ヶ月の居座り組。
- そこから読み解くと——“居座り組”が居座る理由は、値段が物件の実力(収益+リスク)に見合っていないこと。売れないから業者の間を回され、扱う業者が増える。だから今の価格では追わず、下がるのを待つのが基本です。ただし「下がれば買い」とは限りません(実力そのものが低い物件もある)。
- そして、これはあなたが無料で確かめられます(掲載期間・複数サイトでの業者数・値下げ履歴)。
「いい物件はすぐ消える」も、「ずっと残っている物件には理由がある」も、なんとなく感じていたことだと思います。それを、約18万件のデータで裏取りして、なぜそうなるのかまで考えてみた——というのが今日の中身でした。
ここまで読んで、「自分がいま見ている物件は、速い側か、居座り側か」と気になった方へ。
この記事で使ったデータは、私が運営に関わっている物件分析サービス「Haro」が、市場に公開された収益物件の情報を継続的に集計・分析しているものです。Haroなら、今日の話を自分の物件で確かめられます。
- エリア×種別ごとの回転の速さ
- 気になる物件が、これまでに何社・何ヶ月、市場に出ているか
- その物件の値下げの履歴
このあたりを、物件単位で見られます。まずは無料で試せます。
👉 Haroを無料で見てみる:https://haro-app.jp/
(やっしー隊長)
※本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。
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