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昨日、勉強会で世界経済の話を聞いてきた。「ドルは強い、円は弱い」とよく言われる。為替のニュースを見れば、たしかにその通りに見える。でも、いざ自分の資産をどう守るかを考えると、この一言だけでは判断を誤る。通貨の「強い・弱い」には、二つの意味があるからだ。
ひとつは、他の通貨と比べた値段、つまり為替。もうひとつは、その通貨で実際に物がどれだけ買えるか、つまり購買力。この二つを分けて見ると、景色がずいぶん変わってくる。
今日は、ドルと円のいまを整理して、これから何が起きそうか、そして大家として何をしておけばいいかを、私なりに書いておきたい。
ドルは、本当に強いのか
為替で見れば、ドルは強い。世界の基軸通貨で、何かあれば「とりあえずドル」と買われる。
ところが購買力で見ると、話は逆になる。アメリカの物価は2019年以降で約3割上がった。2026年5月の消費者物価指数も4.2%と、3年ぶりの高さだ。つまりドルは、自国の中では着実に目減りしている。
さらに足元のアメリカは、構造的な重荷を抱えている。
- 政府の借金は約39兆ドル。利息の支払いだけで年1兆ドルを超え、国防費を上回る。
- 世界の外貨準備に占めるドルの割合は、2000年の約71%から、2025年には約57%まで下がってきた。
これだけ見ると「ドル崩壊だ」と煽りたくなる。でも、ここは冷静に見たい。基軸通貨の交代は、過去にポンドからドルへ移ったときも数十年かかった。今のドルも、崩壊ではなく「じわじわ摩耗している」段階だ。「ドルはもうすぐ紙くずになる」という予言は1970年代からずっと言われ続け、そのほとんどが外れてきた。危機を売り物にする話ほど、距離を取ったほうがいい。
円は、どこまで弱いのか
一方の円は、為替でははっきり弱い。ドル円は一時160円台、この1年で対ドルに約1割下げた。
理由はシンプルで、日本とアメリカの金利差だ。アメリカが高い金利、日本がほぼゼロ金利という状態が続けば、お金は金利の高いドルへ流れ、円が売られる。これは「日本がダメだから」というより、金利差という機械的な力が大きい。
ただし購買力で見ると、実は日本のインフレはアメリカより穏やかだ。日本の物価上昇は1%台で、アメリカの4.2%よりずっと低い。
やっかいなのは、円が弱いと輸入品が高くなることだ。日本はエネルギーも食料も輸入に頼るので、円安はそのまま輸入インフレになる。給料は大きく増えないのに、ガソリンも食品も高い。生活実感としては、いちばんつらいタイプの物価高だ。実際、政府は2026年の春に10兆円規模の為替介入までして円安と戦った。
これから、どうなりそうか
ここが、多くの人の知りたいところだと思う。私が見るかぎり、流れはこうだ。
まず金利。日本銀行は2026年6月に政策金利を1.0%へ引き上げた。1995年以来の高さで、利上げを続ける姿勢だ。逆にアメリカは利下げの方向。つまり、これまで開きっぱなしだった日米の金利差が、これから縮まっていく。金利差が縮まれば、円安の一番の原因がやわらぐので、中長期では円が少し戻る(円高方向の)力が働く。
ただし当面は、まだ金利差が大きいので、円安が残るという見方が多い。専門家の2026年末予想は、おおむね1ドル150〜152円が中心。強気の円安派でも165円といったところだ。
正直に言えば、為替の予測は外れる。私も当てられない。だから「何円になるか」を当てにいくより、「急な暴落も急な暴騰もメインシナリオではなく、本質は通貨がじわじわ薄まっていくことだ」という方向感をつかんでおくほうが、ずっと役に立つ。インフレは、気づかないうちに少しずつ取られていく税金のようなものだ。ドルも円も、ただ置いておくだけで中身が静かに減っていく。
では、大家として何をしておくか
予測を当てにいけない以上、どちらに転んでも効く備えをしておくのが王道だ。私が実際に意識しているのは、こんなことだ。
- 現金を置きっぱなしにしない。 紙(現金・預金)は、インフレで一番削られる。
- 円・ドル・現物に分けて持つ。 どれか一つに寄せない。家賃を生む不動産や金のような現物は、通貨が薄まる時代に相対的に強い。
- 借入は金利上昇を前提に見直す。 ここが大家にとっての本丸だ。日銀の利上げで、国内の融資金利はこれから上がっていく。返済額が増えてもキャッシュフローが回るか、金利が上がった前提で各物件を計算し直しておく。過度なレバレッジは避ける。
- 「今だけ・秘密・特別」には乗らない。 不安な時代ほど、それに付け込む怪しい話が増える。
そして私自身は今、この考えのもとで、いったん利確と資産整理を進めている。値上がりした物件を売って利益を確定し、借入を減らして身軽になり、次の融資余力——いわば信用度——を高めておく。そして相場と金利が落ち着いた頃に、また現物に戻る。現物への確信は変わっていない。今は、次に動くための準備期間だと考えている。
まとめ ── そして「売り方」の話へ
ドルは為替で強く、購買力で弱い。円は為替で弱く、購買力ではまだ穏やか。けれど「置いておくだけで静かに目減りする」点は、どちらも同じだ。だから、紙から現物へ、円とドルに分けて、借入は金利上昇を前提に。これが、これからの経済に対する、地に足のついた備えだと思う。
最後にひとつ。値上がりした物件を「どう売るか」でも、手元に残るお金は大きく変わる。不動産を物件のまま売るのではなく、”会社ごと売る”という方法があって、私は今まさにその形で売却を進めている。これは奥が深い話なので、次回の記事でじっくり書きたい。
※本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。
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