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毎年この時期になると、固定資産税の納付書が届きます。
一棟物件をいくつも持っていると、固定資産税は決して小さな額ではありません。これだけまとまった金額を払うなら、現金や口座振替ではなく、ポイントやマイルが貯まるカード払いにしたい——そう考えるのは自然なことです。私自身、何度もそう考えてきました。
ただ、結論から言うと、状況はここ数年で大きく変わりました。「カードで払えばポイントがごっそり貯まる」という時代は、もう終わりかけています。2026年6月の今、どのルートが生き残っているのかを、ひとつずつ調べ直しました。
先に結論
- 「ごっそり貯まる」万能ルートは、もうありません。
- 数年前まで有効だったnanaco経由やQR決済の裏ワザは、ほぼ封じられました。
- それでも残っている現実的な方法は、次の2つです。
- ① 税金でも還元率が下がらない「1.0%以上」のカードで、地方税お支払サイト(eL-QR)から直接払う。ただし手数料を引くと、手元に残るのはごくわずか。
- ② au PAYゴールドカードでチャージしてから、QRコードの請求書払いで納める。手数料はゼロ、還元は1%。ただし月の上限あり。
- どちらも「大量に貯まる」とは言えません。カードの選び方を間違えると、ポイントより手数料の方が高くつきます。
つまり今は「たくさん貯める」ゲームではなく、「損をしないカードを選ぶ」ゲームに変わった、というのが正直なところです。
⚠️ この記事の数字について(先に一言)
ポイント・マイルの世界は、とにかく改定が早い分野です。しかも、たいてい「貯まりにくくなる」方向に動きます。ここに書いた手数料・還元率・使える支払い方法は、すべて2026年6月時点のもので、この記事を公開した直後に変わっていても不思議ではありません。実際、ここ数か月だけでも、いくつものルートが閉じたり、還元率が半分になったりしています。だから、実際に払う前には、各カード会社・決済アプリ・お住まいの自治体の最新情報を必ず確認してください。この記事は「今どこに穴が残っているか」を探すための地図として使い、最後の数字合わせはご自身で取り直すのが、結局いちばん損をしません。
なぜ昔の裏ワザは使えなくなったのか
少し前まで定番だった方法が、次々と封じられました。
nanaco経由かつては高還元のクレジットカードでnanacoにチャージし、その残高で税金を払うのが定番でした。ところが2020年3月12日以降、nanacoへのチャージにクレジットカードを新しく登録できるのは「セブンカード・プラス」だけになりました。リクルートカードのような高還元カードは、新規では使えません。しかもnanacoはチャージ残高の上限が5万円、1回のチャージは3万円までという天井があります。さらに、その唯一の受け皿だったセブンカード・プラス自体も、2026年6月30日で新規入会が止まる予定です。高額の固定資産税を払う手段としては、もう現実的とは言えません。
QR決済(請求書払い)PayPayや楽天ペイの請求書払いは、決済手数料こそゼロですが、支払い自体にはポイントが付きません。PayPayの請求書払いは2022年4月からポイントの対象外、楽天ペイの請求書払いも支払い分はノーポイントです。
カードそのものの改悪そして一番効いているのが、カード会社側の動きです。税金や公共料金の支払いだけ還元率を下げるカードが増えました。楽天カードは税金の還元率が1.0%から0.2%に、dカードは2026年2月1日から公共料金・税金の還元率が1.0%から0.5%に半減し、その対象には固定資産税(eLTAX経由の納税)も含まれます。
「自分のカードは1%だから大丈夫」と思っていても、税金のときだけ0.2%、ということが普通に起きています。
各ルートの損得を数字で見る
① 地方税お支払サイト(eL-QR)でカード直接払い
手数料は、税額1万円ごとに約82〜83円。最初の1万円分だけは40円です。自治体によって0.7〜1.1%の幅があり、東京23区は0.8%、大阪は0.82%、千葉は1.1%といった具合です。
これをポイントと比べると、1万円あたりこうなります。
- 還元率1.0%のカード:100ポイント − 約83円 = およそ17円のプラス
- 還元率0.5%のカード:50ポイント − 約83円 = およそ33円のマイナス
つまり、税金でも1.0%以上を維持できるカードでなければ、払うほど損をします。手数料は手続きの途中で画面に表示されるので、その場でポイントと見比べられます。
② nanaco経由(ほぼ封鎖)
新規で使えるのはセブンカード・プラスのチャージ0.5%だけ。上限5万円・1回3万円の制約もあり、高額納税にはほぼ使えません。前述のとおり、その入口も2026年6月で閉じる予定です。
③ QR・バーコード決済(請求書払い)——「チャージで先に貯めれば?」
ここで多くの人が思いつくのが、「請求書払い自体にポイントが付かなくても、その手前のチャージでカードのポイントを取ればいいのでは?」という発想です。考え方は正しく、実際これが唯一の抜け道でした。ただ2026年は、その入口もほとんど塞がれています。
- PayPay:そもそも税金が払えません。クレジットカードからチャージした残高は「マネーライト」という種類になり、固定資産税などの税金には使えない決まりです。税金に使えるのは銀行口座やATMからチャージした残高だけで、こちらはチャージでポイントが付きません。入口の時点で行き止まりです。
- 楽天ペイ:かつては「楽天カード→楽天キャッシュ」のチャージで0.5%が取れました。ところが2026年6月4日にルールが変わり、このチャージ分のポイントが廃止されました。請求書払いの利用そのものも、もともとポイント対象外です。結果、ここも実質ゼロになりました。
- au PAY:ここだけ入口が残っています。au PAYゴールドカードでau PAY残高にチャージすると1%のPontaが付き(標準のau PAYカードは0.25%)、その残高で請求書払いができます。手数料もゼロ。2026年6月時点で、QR決済の中で実際にポイントが残る唯一のルートです。
ただし、そのau PAYゴールドにも上限があります。チャージで上乗せされる1%分は、月1,000ポイント(チャージ約10万円ぶん)まで。固定資産税が大きく、1か月でまとめてチャージすると、超えた分には1%が付かず、実質の還元率は1%を下回ります。たとえば1か月で50万円チャージしても、もらえるのは1,000ポイント=実質0.2%まで薄まります。1%を保つには、納期に間に合う範囲で月10万円ずつ複数月に分けてチャージする、という手間がかかります(請求書払いそのものの上限は1回30万円・月200万円なので、支払い額の方は問題になりません)。
④ 高還元・法人カード
物件を法人で持っているなら、法人カードで払うのが自然です。ここでも判断基準は同じで、税金でも還元率が落ちないカードかどうか。落ちるカードを使うと、手数料の方が高くついて逆ざやになります。
大家・高額納税ほど、差が出る
税額が大きくなるほど、「最初の1万円だけ40円」という割安部分の恩恵は薄まり、1万円ごとに約82〜83円(およそ0.82%)という部分が効いてきます。
だから高額になるほど、選択肢は
- 「税金でも1.0%以上落ちないカードで、eL-QR直接払い」
- 「au PAYゴールドでチャージして、手数料ゼロ+1%(上限まで)」
の二択に絞られていきます。
正直に言えば、ポイント目当ての旨みは薄いです。むしろカード払いの本当の利点は、納期に追われずに支払いのタイミングをずらせること、まとまった出費を後ろにずらして資金繰りを楽にできることかもしれません。手数料を「資金繰りのコスト」と割り切れるかどうか、という見方もできます。
いくらまで払えるか(上限の壁)
ここで見落としやすいのが、支払い方法ごとの上限です。固定資産税が大きい人ほど、ここで使える方法が絞られます。
- クレジットカード直接払い(地方税お支払サイト):1回の上限は約1,000万円(正確には9,999,999円)。事実上、高額でもこれで払えます。ただし、カード会社側の利用可能枠が別の上限になります。
- QR・コンビニ系(請求書払い):納付書1枚が30万円を超えると、そもそもバーコードやQRコードが印字されず、使えないことが多いです。アプリ側の1回の上限も、au PAYは30万円、楽天ペイは50万円(月100万円)までです。
- nanaco:残高の上限が5万円、1回のチャージが3万円まで。少額向けで、高額の納税には現実的ではありません。
つまり、1枚の納付書が30万円を超えると、手数料ゼロのQRルート(ポイントが取れる数少ない方法)そのものが使えなくなり、手数料のかかるカード直接払いに寄っていきます。税額が大きいほど、「ポイントを取りに行く」余地はむしろ狭まる、というのが実際のところです。
マイルで貯める人なら、見え方が少し変わる
ここまでは、1ポイント=1円で考えた話です。マイルで貯めて使う人は、少し見え方が変わります。
貯めたポイントをマイルに換えて、1マイルを1円以上(特典航空券なら2円以上になることもあります)の価値で使えるなら、手数料0.8%前後を上回る価値が出て、eL-QR直接払いでもプラスに振れます。「マイルを1マイルいくらで使えるか」で損得が動く、ということです。
ただ、マイル目線で見ても、注意点が3つあります。
- 税金ルートの上限は、カードのランクで決まる。 たとえばANAマイルなら、ANA Payにチャージして払う方式で、一般〜ゴールドクラスで合計1%強、上位カード(ダイナースやプレミアム)で1.6〜2%台、というのが2026年の目安です。税金で大きく稼げるわけではなく、持っているカードの格でほぼ天井が決まります。
- ネットで見かける「3.5〜4%の最強ルート」は、たいていマイルではない。 カードからチャージを何段も重ねるルートで貯まるのはVポイントや楽天ポイントで、ANAマイルそのものではありません。マイルに交換すると目減りすることが多く、額面の高還元がそのままマイルになるわけではない、という点は押さえておきたいところです。
- 本気でマイルを貯めるなら、税金はおまけ。 ポイントサイト経由や、電気・ガスなどの固定費をマイルが貯まるサービスに寄せるほうが、貯まる総量は大きくなりがちです。なお、かつて定番だった「ふるさと納税でマイル」は、2025年秋の制度改正で各サイトのマイル・ポイント付与が終わったため、いまは“貯める”手段ではなくなっています。
年会費の高い「ステータスカード」を持っている人へ
不動産をやっていると、年会費の高いカード——マリオットボンヴォイのアメックスや、アメックス・プラチナ、ダイナースなど——を持っている人も多いと思います。「これだけ良いカードなら、税金でもしっかり貯まるはず」と思いたくなります。
ただ、ここでも結論は同じです。ステータスの高いカードでも、税金の直接払いはほぼ0.5%まで下げられています。 マリオットボンヴォイのアメックスも、アメックス・プラチナも、ダイナースも、ふだんは1〜3%のところ、税金のときだけ0.5%(200円につき1ポイント)です。年会費の高さは、税金の還元率には関係ありません。
たとえばマリオットボンヴォイのアメックスで固定資産税を払うと、貯まるのは0.5%ぶんのポイントです。これをマイルやホテルの価値に換えても、手数料の0.8%前後を埋めるのがやっとで、たいていは手数料のほうが大きくなります。マリオットのカードは、ふだんの買い物(3%)や年に1回の無料宿泊特典で価値を出すカードであって、税金で使うカードではない、というのが実際のところです。
それでもステータスカードで税金から得を取りたいなら、決め手は「カードのランク」ではなく「チャージを経由するルートを組めるか」です。たとえばANAダイナースなら、ANA Payにチャージする段でマイルを取り(この部分は税金の減額対象になりません)、その残高を経由して請求書払いに回すと、手数料ゼロで1.6〜2.1%ぶんのマイルが残せます。ただし手順は多く、iPhoneでは物理の楽天Edyカードも必要になります。ここまでやるのは、マイルを本気で貯めたい人向けの世界です。
自分の場合の確かめ方
最後に、手を動かして確かめる手順をまとめておきます。
1. 納付書にeL-QR(QRコード)が載っているか、納付額が30万円を超えていないかを確認する(30万円を超えると、手数料ゼロのQR系は使えないことが多い)。2. 手持ちのカードの「税金・公共料金の還元率」を、カード会社の最新ページで確認する。ここが下がっていると、そもそも意味がない。3. 1.0%以上を保てるカードがあれば、地方税お支払サイトからeL-QRで直接払う。途中で出る手数料とポイントを見比べる。4. 手数料を1円も払いたくないなら、au PAYゴールド→チャージ→請求書払い(上限に注意)。5. 対応している決済方法は自治体ごとに違うので、払う直前にもう一度確認する。
まとめ
「固定資産税でポイントをごっそり」は、もう昔の話です。
裏ワザの多くは封じられ、2026年は「損をしないカードを選ぶ」ことが現実的なゴールになりました。旨みは薄いですが、正しく選べば数百円から数千円ぶんは取り戻せます。そして税額が大きい人ほど、その差は積み重なります。
ひとつだけ確かなのは、この分野の制度は毎月のように変わるということ。払う直前に最新の還元率と手数料をもう一度確認するのが、結局いちばん損をしない方法です。
※この記事の数字は2026年6月時点のものです。手数料率や各カードの還元率、対応する決済方法は変更されることがあります。各カード会社・自治体・地方税共同機構などの公開情報をもとにしています。実際に払う前に、最新の条件を必ず確認してください。
※本記事は2026年6月時点の公開情報に基づきます。
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