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「家賃はもったいないよ。買っちゃえば自分の資産になるんだから」
一度は言われたこと、あるいは言ったことがある人が多いはずです。持ち家か、賃貸か——日本のお金の話で、これほど答えの出ない論争もありません。
今回は、この大論争に世界の研究がどう答えているかを調べました。先に言ってしまうと、「どっちが得」という一つの答えは、ここにはありません。代わりに、答えは人によって違うこと、そして自分の答えは自分で出せることを示す数字を並べます。
その前に、少しだけ予想してみてください。持ち家と賃貸の損得は、何で決まると思いますか? 「買う値段」「金利」「タイミング」——多くの人がこう答えます。ところが世界中のデータが示していたのは、別の2つでした。「何年住むか」と「その家に出口があるか」——出口とは、いざという時に売れるか、貸せるか、ということです。
持ち家には、”見えない家賃”がある
まず見ておきたいのが、持ち家のコストです。持ち家に家賃はありませんが、税金・修繕・建物が古くなる分・お金のコストを合計した「見えない家賃」が毎年かかっています。その中身を、4,000万円の家を例に金額で出すとこうなります(下の表まるごとが「見えない家賃」です)。
| 見えない家賃の中身(4,000万円の家・年額) | 中古マンション(フルローン・変動) | 新築の木造戸建て(頭金2割・固定) |
|---|---|---|
| 固定資産税・都市計画税 | 約16万円(0.4%) | 約16万円(0.4%) |
| 修繕・管理・保険 | 約40万円(1.0%) | 約32万円(0.8%) |
| 建物が古くなる分(減価) | 約40万円(1.0%) | 約72万円(1.8%) |
| お金のコスト(金利+頭金の機会費用) | 約44万円(1.1%) | 約92万円(2.3%) |
| 住宅ローン控除(期間限定の割引) | ▲約20万円(0.5%・10年) | ▲約24万円(0.6%・13年) |
| =見えない家賃(合計) | 約120万円/年(月 約10万円) | 約188万円/年(月 約15.7万円) |

※金額は物件価格4,000万円に対する各割合の目安。固定資産税は評価額が市場価格より低く住宅用の軽減もあるため市場価格ベースで0.3〜0.5%程度。減価は「建物は古くなる」分で、木造は税法上22年で建物価値がほぼゼロ査定。機会費用は「頭金を投資に回していたら得られたはずのリターン」を年4%と仮定。金利は2026年6月時点の変動でおおむね年1%前後です。フルローンは頭金なしで全額を借りること。「変動」「固定」は住宅ローンの金利タイプです。
同じ4,000万円の家でも、中古マンションをフルローン変動で買えば見えない家賃は月約10万円、新築の木造戸建てを頭金2割・固定で買えば月約15.7万円。「家賃ゼロ」に見える持ち家の中に、賃貸の家賃と比べられる数字が、ちゃんと入っているわけです。そして日銀の利上げで変動金利が年1%前後まで戻ったいま(2026年6月時点)、この数字は動き始めています。
「インフレで家の価値も上がるのでは?」
上がります。ただし家賃も上がります。インフレで確実に得をするのは「決まった額の借金を抱えた人」で、ローン残高の負担が実質的に軽くなる分は持ち家側に有利——これは正直に認めます。その上で、損得は「買ったときより値段が上がったか」だけでは測れません。物価の上がり分を差し引いて、かかったコストを引いて、最後に売れるか(貸せるか)まで含めて、はじめて分かります。
何年住めば、買った元が取れるのか——答えは「場所しだいで、桁まで違う」
見えない家賃だけなら、話は簡単でした。やっかいなのは、家の売り買いには大きな手数料がかかることです。買うときに価格の6〜8%(仲介手数料・登記・取得税・ローン諸費用)、売るときに4%前後。往復でざっくり価格の10%。4,000万円の家なら約400万円です。しかもこれは、何年住んでも変わらない一回きりの費用。だから長く住むほど、1年あたりの負担は小さくなります。米国の研究モデルも購入3%+売却8%(Zillow・2026年)、購入2%+売却6%(学術研究・2012年)と、ほぼ同じ費用を置いています。
この往復コストがあるから、「買い」と「借り」の損得は一本の式にまとめられます。
元が取れるまでの年数 ≈ 往復コスト(約10%) ÷(1年分の家賃 − 見えない家賃 ± 相場の動き)
(家賃も見えない家賃も相場も、すべて物件価格に対する年あたりの%で考えます。)
この式の答えを、世界中で計算した人たちがいます。
米国・Zillow(2026年6月公表・いまの金利での数字)。 全米の典型的な家では、買いが賃貸を上回るまで約6年(頭金5%で5.9年・2割で6.0年)。金利が最も厳しかった2023年10月には8.4年まで伸びていました。ここからが本題で、同じ全米50大都市圏の中で、答えはこう割れます——最も早いコロンバス・メンフィス・バッファローは約3.5〜4.2年。最も遅いサンディエゴ・シアトル・オースティン・LA・ポートランドは約17〜25年。そしてサンフランシスコ・サンノゼ・ニューオーリンズでは、30年住み切っても賃貸が勝つ計算です。同じ国・同じ年・同じ式で、「3年半」から「一生分でも届かない」まで。(同社の2012年の古いデータでは、ニューヨーク都市圏の町単位で1.4年〜24.1年=約17倍の開きも記録されています。当時の低金利下の数字です。)

学術研究も方向は同じです。 米国の学術研究(Beracha & Johnson・2012年)が1978〜2009年を8年ごとの区切りで検証すると、あとから振り返れば「借りて、浮いたお金を投資に回した人」が65〜75%の期間で勝っていました。ただし研究者自身が、二つの注意点を添えています。一つ目は、勝ったのが浮いたお金を毎回きちんと投資に回した人だけだったこと。「持ち家は、貯金が苦手な人には強制的な貯金として働く」とも述べています。二つ目は、勝ち負けが、いつ買ったかでほぼ決まっていたこと。1989年に借り始めた人は資産98%増、1999年なら37%減。腕前ではなく、時期と場所です。カナダの最新分析(PWL・2005〜2024年)でも、住宅価格が歴史的に上がった20年間ですら、賃貸組と持ち家組の最終的な資産はほぼ引き分け(比の平均0.99)。都市別ではカルガリーの持ち家圧勝からウィニペグの賃貸圧勝まで割れました。
では日本は? 日本にも、同じことを調べられる公表データがあります。東京カンテイの「マンションPER」——その駅の物件価格が、家賃の何年分にあたるかという指標です。2024年の首都圏新築マンションの平均は28.93(前年から約3年分も割高になりました)。駅ごとの開きが大きく、最も低い駅で14.58、最も高い駅で53.07——同じ首都圏で3.6倍の差があります。

この差を、さっきの式に入れてみます。見えない家賃は、持ち家に有利な低めの想定で3%と置きます(新築や頭金を厚く入れた場合はもっと高くなり、その分だけ「買い」に不利になります)。
- PERが15前後の駅(例えば首都圏で最も低い稲毛海岸は14.58)なら、1年分の家賃は価格の約6.9%。見えない家賃の3%を引いても、持ち家のほうが毎年約3.9%——4,000万円の家なら年に約156万円——得をする計算です。この積み重ねなら、往復コストの10%は2〜3年で取り返せます。ここでは、短い年数でも持ち家がはっきり有利です。
- PERが50を超える駅(例えば最も高い白金高輪は53.07)なら、1年分の家賃は価格の約1.9%。見えない家賃(約3%)より、借りたほうの家賃が安い。持ち家のほうが毎年約1%ずつ損が積み上がる計算で、相場が上がり続けない限り、元が取れる日は来ません。
これは「稲毛海岸は買い得・白金高輪は損」という意味ではありません。あくまで家賃と価格の”比率”の話で、実際の損得は式の最後の項——±相場の動き、つまり将来の見通し——が決めます。(築10年の中古マンションでも、同じように駅で大きく開くことが報じられています。東京カンテイ調べ・2025年報道。)
「でも都心を買った人は実際に勝ってきたじゃないか」——その通りです。それは式の最後の項、「±相場の動き」が近年大きくプラスだったから。ただ、ここで立ち止まりたい。「過去に上がった」は、「これから上がる」の証拠ではありません。都心を買った人が勝ったのは事実。でもそれは過去の結果であって、これから買う家の損得を決めるのは、これからの相場です。過去の値上がりは、いま買う理由にも、見送る理由にもなりません——もう終わった話だからです。しかも私たちの耳には、勝った人の声のほうが大きく届きます。負けて静かに手放した人の話は、なかなか回ってきません。
だから、ここではっきり分けておきます。家賃と価格の比率は、今日確認できる数字。これからの相場は、誰にとっても予想です。さっきのZillowや各国の「元が取れる年数」も、この相場の予想を織り込んだ計算で、絶対の答えではありません。相場をどう見込むかは、読む人それぞれの判断です。
この章のまとめはこうなります。「何年住めば元が取れるか」に全国共通の答えはなく、住みたい駅の家賃と価格の関係で決まる。自分で計算する方法は、最後の「3つの手順」にまとめました。
米国では、人は「永住のつもり」で買い、11年で売る
ここまでで「何年住むかが決め手」だと分かりました。では、人は実際に何年住むのでしょうか。
米国の全国調査(NAR・2025年)に、対照的な2つの数字が並んでいます。家を買った人が「住むつもり」と答えた年数の中央値(ちょうど真ん中の人の値)は15年。28%は「一生住む家。二度と引っ越さない」と宣言しています。ところが、同じ調査で実際に家を売った人の保有年数の中央値は11年。しかもこれは、金利の影響で住み替えが減った「調査開始以来もっとも長い」値です。住み替えが活発だった2000年代は、約6年でした。住むつもりは15年、現実は11年。時代によっては、つもりの半分以下。理由は想像の通り、転勤・介護・離婚・相続——手放すタイミングは、いつも自分で選べるとは限りません。「売る予定がない」と「売れなくてもいい」は、別の話です。

行動経済学ではこれを「計画錯誤」と呼びます。人は自分の未来を、統計よりも楽観的に見積もってしまうのです。持ち家の計算で一番狂いやすいのは、金利でも相場でもなく、「何年住むか」の見積もりかもしれません。日本に同じ全国統計は見当たりませんが、転勤や介護や相続が予定を裏切る事情は、日本でも変わりません。
「売れやすさ」は、街でこんなに違う
ここで、正直に打ち明けておきます。この章で使うのは、マイホームのデータではありません。全国で売りに出された一棟収益物件——アパートやマンションを一棟まるごと——約18万件(2026年6月7日時点)の売り出し記録です。
なぜ代わりのデータを使うのか。マイホームが「売りに出されてから何ヶ月で動いたか」「いくら値下げされたか」を、全国の市単位で毎月追える公開統計が、実は見当たらないからです。いちばん近いのはレインズ(不動産流通機構)の公表データで、首都圏全体では中古マンションが登録から成約まで平均82.5日、中古戸建てが100.9日(2025年)。ただしこうした大きなくくりの数字が中心で、「うちの市はどうか」までは分かりません。一方、投資用の物件は売り出し情報が広く公開され続けるため、市単位で「買い手のつきやすさ」を毎月観測できます。
もちろん、買い手は違います。アパートを一棟買うのは投資家です。ただ、投資家が値段を決めるときに見ているのは、突き詰めればその街に「住みたい人」がどれだけいるかです。だからこのデータは、マイホームの売れやすさの直接の証拠ではなく、「その街の住宅需要を、自分のお金を出している人たちがどう評価しているか」を写した地図として読むことにします。
まず全体像。売り出された物件全体では、値下げに動いたのは6件に1件(15.6%)。ただし2ヶ月以上売れ残った物件に絞ると、45.5%まで跳ね上がります。7ヶ月値下げせずに粘った売主も、64%はその後、結局値下げに追い込まれています。「売れ残る」ほど、値下げは避けられなくなるのです。
この「売れやすさ」を、市ごとに同じものさし(全掲載物件ベース)で並べるとこうなります。
| 都市 | 売れ残り期間の中央値 | 値下げした物件の割合 | 値下げ幅の中央値 |
|---|---|---|---|
| 東京23区 | 6ヶ月 | 12.4% | 7.6% |
| 横浜市 | 6ヶ月 | 16.0% | 6.8% |
| 名古屋市 | 7ヶ月 | 19.4% | 7.0% |
| 神戸市 | 8ヶ月 | 14.7% | 11.1% |
| 北九州市 | 10ヶ月 | 17.4% | 11.3% |
| 新潟市 | 7ヶ月 | 15.9% | 14.7% |

※値下げした物件の割合は全掲載物件ベース(全国平均15.6%)。売れ残り期間の中央値は2ヶ月以上掲載の物件で、値下げ幅は値下げに動いた物件で算出。売出価格の追跡であり、成約価格ではありません。
東京23区は半年ほど・値引き1割未満で売れていくのに対し、買い手のつきにくい街では1年近く売れ残り、値下げに動いた物件では1割以上下げられています。しかもこの差は「都会か地方か」では割り切れません。同じ福岡県でも福岡市12.7%、北九州市17.4%。県ではなく、市で差がつきます。
「うちは買ったときより査定が上がっているから勝っている」——その、査定で増えたように見える利益(含み益)は、売れて初めて現金になります。投資のプロですら買い手探しに1年近くかかる街で、マイホームの査定額だけがすんなり現金に変わると考えるほうが不自然です。自分の街のマイホームの売れやすさは、最後の手順①で誰でも確かめられます。
もう一つの出口——「売らずに貸す」はあてになるか
売る以外に、もう一つ出口があります。貸すことです。実際、米国にはこれを毎月数えているデータがあります。
家を売りに出したものの売れず、賃貸に切り替える人を、米国では”accidental landlord”(ここでは「成り行き大家」と呼びます)といいます。Zillowの分析(2025年10月データ)では、こうして賃貸に切り替えられた住宅が、賃貸に出ている物件の2.3%を占め、3年ぶりの高い水準でした。注目は地域差です。家が売れにくい「買い手市場」の都市で多く(デンバー4.9%・ヒューストン4.2%)、すぐ売れる「売り手市場」では少ない(ボストン0.6%・ニューヨーク0.7%)。約8倍の開きです。つまり「貸す」という出口はたしかに実在する——ただしそれが必要になるのは、売れない街。結局ここでも、出口の話に戻ってきます。

そして日本で「貸す」を選ぶ場合、先に知っておくべきことが2つあります。
- 住宅ローンのまま貸すのは、原則できません。住宅ローンは本人が住むことが融資の条件で、黙って賃貸に出して目的外と判断されると、全額の一括返済を求められる場合があります。転勤などやむを得ない事情なら、金融機関への届出・相談の上で貸せるケースがあります(フラット35も「戻ることを前提とした一時的な賃貸」は手続きの上で可能)。そうでなければ、金利の高い賃貸用ローンに借り換えることになります。
- 住宅ローン控除は、住まなくなった年から原則使えません(国税庁の定め。再入居すれば翌年から再び使える道はあります)。
まとめるとこうです。「売れなくても貸せばいい」は本当。私自身、貸す側の人間なのでよく分かります。ただし貸した瞬間に、持ち家の二大特権——住宅ローンの低金利と控除——を失う。貸した瞬間に条件が変わることを知った上で選ぶのと、知らずに「いざとなれば貸せばいい」と思っているのとでは、買う前の計算がまるで違ってきます。
結論——「どっちが得」ではなく、「何年住むか × 出口のある家か」
ここまでを整理します。世界の研究の結論は「持ち家と賃貸、長い目で見れば明確な勝者なし(ただし場所と時期で正反対)」。損得の分かれ目は、買値でも金利の読みでもなく——
- 何年住むか。 往復コストの負担を確実に軽くしてくれるのは、住む年数です(相場の追い風もありますが、それを当てにできるかは人それぞれです)。ただし人は「永住のつもり」でも、実際には11年——かつては6年——で売っている。それが統計の示す現実です。予定ではなく、転勤・介護・相続まで含めた「現実にありそうな年数」で考えることです。
- 出口のある家か。 売れる街か(買い手の地図)、貸せる家か(家賃が見えない家賃を上回るか)。含み益は、売れる(貸せる)までは、画面の中の数字でしかありません。
- 持ち家にしかない価値も、ちゃんと数える。 団体信用生命保険は生命保険の代わりになり、老後に住まいを追われる心配が小さいのは賃貸にない安心。ローンの返済は強制的な貯金として働きます——研究者自身がそう認めています。ただしそれは引き出しにくい貯金箱で、引き出せるかどうかは出口しだいです。
ちなみに、人には、自分の持ち物に他人がつけるより高い値段をつけるクセ(保有効果)と、自分の未来を楽観的に見積もるクセ(計画錯誤)があります。自分の家が売れるかどうかだけは、市場のデータという「他人の目」で確かめたほうが安全です。
これは「買うな」でも「借りろ」でもない
賃貸に住む人が増えるほど得をする大家の私が言うのも変ですが、条件しだいで持ち家は圧勝します。長く住み、出口のある立地を選び、いまの金利と控除を使えるなら、計算は持ち家側に大きく傾きます。逆の条件なら賃貸が勝ちます。言いたいことは一つだけ——確かめるべきは「いくらで買うか」より、「何年住むか」と「出口があるか」。そしてこの2つは、今日から自分で調べられます。
自分の答えを確かめる、3つの手順
- 自分の街の「売れるまでの時間」を見る。 不動産ポータルで自宅エリアの中古物件をいくつか開き、掲載日を確認する。半年前・1年前から載ったままの物件が多い街かどうかは、誰でも確かめられます。
- 自分の街の「PER」を計算してみる。 同じ駅・同じ広さの売り物件と賃貸物件を1件ずつ開き、価格÷(月額家賃×12)を計算する。家賃の15年分か、30年分か、50年分か。ここに見えない家賃(ざっくり価格の3〜5%)と往復コスト10%を当てはめれば、元が取れるまでの年数の見当がつきます。広告の家賃は実際に決まる家賃と少しズレるので、あくまで大まかな目安です。
- 「何年住むか」を、予定ではなく可能性で考える。 転勤、親の介護、家族構成の変化。10年後に売る可能性が半分でもあるなら、往復コスト10%÷10年=年1%を「見えない家賃」のほうに足して、家賃と比べてみる。この一手間で、判断はぐっと確かになります。
まとめ 答えは「どこに住むか」と「何年住むか」で決まる
「家賃はもったいない」は、半分は本当で、半分は思い込みでした。持ち家には見えない家賃(年およそ3〜5%)があり、売り買いには往復約10%の費用がかかり、その元が取れるまでの年数は場所でまるで違います——価格と家賃の関係(PER)は同じ首都圏でも駅の間で3.6倍。年数にすると「2〜3年」から「相場しだいで届かない」まで、米国では「3年半」から「30年住んでも届かない」まで。どっちが得かを、私が決めることはできません。ただ、式は1本。必要な材料は、今日からすべて自分で集められます。
——ところで、この計算をすると決まってこう言う人が現れます。「うちは変動金利で借りて大正解だった。周りもみんなそう言ってる」。本当にそうでしょうか。「変動で得した人しか周りにいない」ことには、データで説明できるカラクリがあります。この続きは、次回。
この検証の限界
- 売れ残り・値下げのデータは一棟収益物件ベースであり、マイホームそのものの統計ではありません。「街の住宅需要への評価の地図」としての参考値です。売出価格の追跡であり成約価格ではなく、掲載終了は成約を意味しません。値下げした物件の割合は全掲載物件ベース、売れ残り期間は2ヶ月以上掲載の物件と、指標ごとに集計のもとになる物件の範囲が異なります。
- 海外の「元が取れる年数」(Zillow・Beracha & Johnson・PWL)はモデル計算で、頭金・取引コスト率・浮いたお金の完全な再投資に加え、将来の価格・家賃の見通しといった前提に依存します(=それ自体が一種の予想を含みます)。年次と前提は本文に明記の通りです。2012年の米国の1.4年〜24.1年という両端には、高齢者向けコミュニティや人口約300人の富裕村といった特殊な住宅地の値が含まれます。
- マンションPERは東京カンテイの公表値(新築・2024年・駅別)で、家賃は分譲マンションの募集賃料ベース。実際の成約や一般の賃貸とはズレます。大まかな目安として使い、最終的な確認は手順②のとおり実際の物件の数字で行うのが前提です。
- “見えない家賃”の計算は前提(金利・機会費用・家賃相場・修繕費)に依存する概算で、本文では持ち家に有利な低め(3%)で例示しています。自分の数字への置き換えが前提の概算です。
- 中央値ベースの数字は、売り出される物件の構成(種類・築年・価格帯)が変われば、街の実力と無関係に動くことがあります。
- 団信や住環境の安心感など、お金に換算しにくい価値はこの計算の外にあります。
このデータは、どこから来ているのか —— Haro 収益不動産 統計分析データ
この記事の売れ残り・値下げの数字は、私たちが運営する収益不動産プラットフォーム Haro の物件データベース 「R-DX」 に蓄積した統計分析データを解析したものです。市場に公開された一棟収益物件の情報を継続的に集計・分析したHaro独自のデータベースで、本記事では2026年6月7日時点の約18万件(掲載中)のうち、2ヶ月以上掲載が続いた59,259件を価格分析の対象としています。
こうした「売れ残り期間」「値下げのシグナル」を、実際の物件探しの場面で使えるのがHaroです。
▶ Haro(収益不動産プラットフォーム)| https://haro-app.jp
海外・公的データの出典: Zillow「Buy vs. Rent 2026」(2026年6月4日公表)/Beracha & Johnson (2012) Real Estate Economics 40(2)/PWL Capital「Renting vs. Owning a Home in Canada 2005–2024」(2025年)/NAR「2025 Profile of Home Buyers and Sellers」/Zillow成り行き大家分析(2025年10月データ)/東京カンテイ「2024年 新築マンションPERの概況(首都圏)」(2025年5月7日)および同社調査の報道(健美家・2025年6月)/東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2025年)」/国税庁タックスアンサーNo.1234/住宅金融支援機構フラット35 FAQ。
※個別の物件・会社・駅を批判する意図はありません。本記事は特定の売買を推奨するものではありません。
※本記事は2026年7月時点の公開情報に基づきます。
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